家自体がコンピュータになり、AIが居住者のアクションを妄想する未来【落合陽一×アシュトシュ・サクセナ】

家自体がコンピュータになり、AIが居住者のアクションを妄想する未来【落合陽一×アシュトシュ・サクセナ】

https://forbesjapan.com/articles/detail/20920

CASPAR AIを開発したBoT社CEOのアシュトシュ・サクセナ氏が現代の魔法使い・落合陽一と描く住居の未来の姿。そこでは子どもたちは犬や猫と遊ぶようにAIやIoT機器と戯れ、高齢者は日常のアクションでAIの恩恵を受けることができる。そこにはもう壁のスイッチもインターフェイスも存在しない。住居自体がコンピュータになることで、人間の暮らしはもっと豊かで快適に、そしてクリエイティブなものになっていく。

家が住まう人間の目的を察知する
AIによるホーム・テクノロジー

落合陽一(以下、落合):最初にCASPAR AIのデモンストレーションを見た時、機械学習を用いているのかなと想像していたんですが……。

アシュトシュ・サクセナ(以下、アシュトシュ):使っているのは教師なしのディープラーニング技術です。多くのAIアルゴリズムを使って、彼が何をしようとしているかを感知していくのです。居住者がどこにいるのかは、ヒートマップと人の動きを追尾できるヴィジョン・アルゴリズムも使用しています。このAIは非常に高機能ですよ。「映画が観たい」といえば、自動でテレビがオンになり、カーテンが閉まります。

落合:それはどの様に決定されるのでしょう?

アシュトシュ:ディープラーニングが日々、居住者のことを猛烈に学習していきます。以前、映画を観ようとしたときに画面に日光が映り込んだのでカーテンを閉めた。その居住者のアクションを覚えているからです。私たちはこれを「コンテクスト(状況)」と呼んでいます。

落合:住居が居住者の行動をディープラーニングしていく、とても興味深いです。自分は研究者なので、複数の問題を別々のフィールドで解決することが多いんです。CASPAR AIのようにトータルで解決していく手法は素晴らしいと思います。

アシュトシュ:あなたの論文は読みました。コンピュータグラフィックスは、コンピュータビジョン(「ロボットの目」をつくる研究分野)とは正反対のスタンスですよね。環境を構築する研究と、すでにある環境をどうするかという点で違っていますね。

落合:それこそ住居も居住者もバラバラなわけで。初期設定をどうするのかなど、アーキテクチャに興味を引かれます。

アシュトシュ:CASPAR AIは可能性を追求し、将来起こり得ることを絶えず想像しているのです。

落合:膨大なデータ量ですね。

アシュトシュ:でもプライバシー保護の観点から、データ自体は保存しないのです。確率学習を使って居住者のLSTM(長期の時系列データ学習)を生成し、毎日更新するだけです。それが長期にわたるのは、クリスマスの行動は、次のクリスマスまで覚えておかなくてはならないことだから。

落合:クラウド全盛の時代ですが、ローカルでデータを処理しているんですよね。

アシュトシュ:私たちはすべてクラウドに接続されるのは良いことだとは思っていません。多くのコンピュータが危険に晒される状況で、クラウドではプライバシーを守るのは難しいと思うのです。

落合:確かに、現実的な解決策ですよね。

家自体がコンピュータになったとき、
居住者のアクションがインターフェイスになる

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